TOPパンくず区切り記号米国株パンくず区切り記号ニュースパンくず区切り記号

次期FRB議長、すぐに利下...

次期FRB議長、すぐに利下げ実施との期待は甘いとの警鐘も

レポート

配信元:株探ニュース

投稿: 2025/07/10 01:31

 FEDウォッチャーたちは、来年に就任する次期FRB議長が就任後直ぐに利下げを実施すると期待している人々に対し、「その考えは甘い」と警鐘を鳴らしている。一部の投資家は、パウエル議長の任期が2026年5月に終了した直後に金利が引き下げられるという見通しに基づいてポジションを取っている。

 これは、FRBの金利決定の仕組みを無視して、トランプ大統領の思惑通りに物事が進むことに賭けることだという。議長と言えども独裁者のように振る舞うことはできない。金利を動かすには、FOMCの過半数の支持が必要で、FOMCには19人の委員が参加し、うち12人が投票権を持つ。つまり、新議長が利下げを実現するには、他の委員を納得させるだけの合理的な主張が求められる。

 現在、FRBは政策金利を4.25-4.50%のレンジで据え置いているが、今後の利下げの見通しについては委員の間でも意見が割れている。これは主に、トランプ関税がインフレに与える影響についての見解が異なるため。

 先日のFOMCで公表された委員の金利見通し(ドット・プロット)によると、委員のうち10名は、関税の物価への影響を一時的とみなし、年内に2-3回の利下げを想定。2名は1回の利下げのみを予想し、7名は据え置きが適切と考えている。

 2026年末時点の予想レンジも2.75-4.25%と幅広い。なお、これらの予測は匿名で提出されているため、どの委員がどの見解を示したかは不明。トランプ大統領は利下げを強く要求しており、本日も「金利は少なくともあと3ポイントは高過ぎる」と不満を投稿していた。

 エコノミストは、「例え議長であっても、直ぐに委員会の同意を得て大きな政策変更を実現するのは難しいだろう」と語る。トランプ大統領が指名する新議長が利下げを支持するのは確実だとしても、彼の意向に賛同する委員はそれだけではない。2018年にトランプ大統領が指名し、先月にはFRBの規制担当トップに昇格したボウマン理事も、これまでは据え置きを支持してきたが、最近では「今月中の利下げが適切かもしれない」と発言。ウォラー理事も同様に利下げに前向きな姿勢を見せていた。

 2026年1月にはクグラー理事も任期満了を迎え、大統領は後任を指名する機会も得る。また、パウエル議長が理事も退任すれば、さらに1枠が空くが、議長は理事として残るかの有無については明言を避けている。理事としての任期は2028年1月まであるが、これまでは議長を退任すれば理事も退任するのが通例。

 ただし、仮にパウエル議長が理事も辞任したとしても、それだけでは票数的には不十分。残りの委員が利下げに賛同するかどうかは、今後の経済状況に大きく左右される。1人ずつ説得するのは容易ではなく、また、FRBでは原則として政策変更時には広範な合意形成が重視され、賛否が真っ二つに割れるような決定は希。

 最終的には委員会としての決定になり、誰が次の議長になろうとも、コンセンサスを形成しなければならない。

株探ニュース

最新人気記事

TOPパンくず区切り記号米国株パンくず区切り記号ニュースパンくず区切り記号

次期FRB議長、すぐに利下...