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S&P500 月例レポート ― 物価上昇を巡る思惑が市場ムードを形成 (3) ―

レポート

配信元:株探ニュース

投稿: 2022/11/18 13:31


●新型コロナウイルスとサル痘

 ○サル痘の感染拡大ペースは鈍化しており、(多くが)感染拡大に歯止めがかかったと判断しています。また、複数のワクチン接種会場の閉鎖も予定されています。米疾病対策センター(CDC)によると、現時点で米国内では2万8302人の感染が確認されています(9月時点では2万5613人)。世界全体での感染者数は7万6806人(同6万8017人)となっています。

 ○新型コロナウイルス関連データ:

  ⇒新型コロナウイルスによる世界全体の累計死者数は、659万人となりました(9月末時点は654万人)。

  ⇒米国は現時点で:

   →新型コロナウイルスの累計感染者数は9750万人となりました(同9630万人)。

   →新型コロナウイルスによる累計死者数は107万人となりました(同106万人)。

   →新規感染者数の7日間平均は10月末時点で3万6861人となり、9月末時点の4万8806人から減少しました。新規感染者数の7日間平均は2022年1月11日に141万7493人に達しました(2021年11月末時点では8万3120人)。また、死者数の7日間平均は352人に減少しました(9月末時点は404人)。

   →冬にかけて新型コロナウイルス(あるいは変異株)の感染者数が増加するのではないかとの懸念が強まりました。

●各国中央銀行の動き(および関連ニュース)

 ○オーストラリア準備銀行(中央銀行)は政策金利を0.25%引き上げ、2.6%としました。利上げ幅は0.50%が予想されていましたが、中銀は経済状況を見極めているとの声明を発表しました。

 ○2022年9月20-21日に開催されたFOMC会合の議事録によると、物価の上昇が続いていることに警戒感を一段と強めていたことが明らかとなりました。FRBは物価目標を達成するためには労働市場が軟化することが必要になると考えていました。

 ○地区連銀経済報告(ベージュブック)によると、FRBは経済が緩やかなペースで拡大していると判断しつつ、「需要の減退に対する懸念が強まるにつれ、先行きに対する見通しはより悲観的となる」との見方も示しています。

 ○カナダ中央銀行は0.50%の利上げを決定しました(2021年末には0.25%だった政策金利は3.75%となりました)。市場では0.75%の利上げが予想されていましたが、中央銀行は僅かながらリセッション入りする可能性があるとの見解を示しました。

 ○欧州中央銀行(ECB)の政策理事会は市場の予想通り0.75%の利上げを決定し、中銀預金金利を1.50%としました。

●企業業績

 ○本レポート執筆時点で276銘柄が2022年第3四半期の決算発表を終えました。このうちの191銘柄で営業利益が予想を上回り、273銘柄中186銘柄で売上高が予想を上回りました(過去最高を記録する可能性があります)。

  ⇒2022年第3四半期は前期比11.9%の増益、前年同期比0.8%の増益が見込まれています。

  ⇒2022年通年の利益は前年比1.9%の減益が見込まれており、2022年予想株価収益率(PER)は19.0倍となっています。

  ⇒2023年の利益は同13.4%増が見込まれており、2023年予想PERは16.7倍となっています。

  ⇒2022年第3四半期中に株式数の減少によってEPSが大きく押し上げられた発表済みの銘柄の割合は、2022年第2四半期の19.8%から20.6%に上昇しました。この割合は2021年第3四半期は7.4%でした(2019年第3四半期は22.8%)。

  ⇒売上高は過去最高となる見通しで、前期比1.9%増、前年同期比11.2%増が見込まれています。

   →速報値を見ると、売上高は四半期ベースの過去最高となる見通しですが、その理由は販売数量の増加ではなく、販売価格の上昇にあるかもしれないと考えられます。

 ○2022年第3四半期の営業利益率は、第2四半期の10.86%から上昇して11.93%となる見通しです(1993年以降の平均は8.26%、過去最高は2021年第2四半期の13.54%)。

●個別銘柄

 ○投資銀行グループのゴールドマン・サックス・グループ<GS>は主要事業を以下の3部門に再編する計画を発表しました。(i)投資銀行/トレーディング事業、(ii)資産運用/ウエルスマネジメント事業、(iii)コンシューマー・バンキング事業(Marcus)。

 ○イーロン・マスク氏は総額440億ドルでツイッターの買収を完了し、経営陣を解任してマスク氏自身が唯一の取締役となりました。

 ○S&Pダウ・ジョーンズ・インデックスは、公益企業のパシフィック・ガス&エレクトリック<PCG>、エネルギー企業のEQTコーポレーション<EQT>とタルガ・リソーシズ<TRGP>をS&P500指数に追加しました。また、ソフトウエア企業のシトリックス・システムズ<CTXS>、不動産企業のデューク・リアルティ<DRE>、調査会社のニールセン・ホールディングス<NLSN>を同指数から除外しました。

  ⇒S&Pダウ・ジョーンズ・インデックスは、保険サービスのアーチ・キャピタル・グループ<ACGL>を2022年11月1日の取引開始前にS&P500指数に追加し、イーロン・マスク氏が買収したソーシャルメディア企業のツイッターを同指数から除外すると発表しました。

●注目点

 ○JPモルガン・チェース<JPM>のダイモン最高経営責任者(CEO)は、今後の経済環境を踏まえると米国経済は向こう6-9ヵ月以内にリセッション入りすると発言しました。その理由として、「極めて深刻な」インフレ動向、金利の上昇、量的引き締めとウクライナ情勢を挙げています。

 ○米国最古の銀行であるバンク・オブ・ニューヨーク・メロン<BK>は、暗号資産のカストディサービスを開始することを明らかにしました。

※「物価上昇を巡る思惑が市場ムードを形成 (4)」へ続く

株探ニュース

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