レポート
配信元:株探ニュース
投稿: 2023/03/23 11:40
S&P500月例レポートでは、S&P500の値動きから米国マーケットの動向を解説します。市場全体のトレンドだけではなく、業種、さらには個別銘柄レベルでの分析を行い、米国マーケットの現状を掘り下げて説明します。
●THE S&P 500 MARKET:2023年2月
個人的見解:市場は0.25%ずつさらに3回の追加利上げを織り込んでいるが、0.50%の利上げも懸念される
2月の市場は、「取り残されることへの恐怖(fear of missing out:FOMO)」に駆られた最後の投資家が押し上げたことで、1月末時点の年初来6.18%高の水準からさらに2.53%上昇してスタートしました。各種の市場レポートでは引き続き、インフレの減速が示されましたが、市場ではインフレ率の低下に時間がかかることと、米連邦準備制度理事会(FRB)のインフレ目標と実際のインフレ率との乖離に焦点が移り始めました。金利をより高水準に、より長期にわたって維持する必要性を示唆するデータが発表されるにつれて、株価は月初の上昇を維持することができませんでした。
転機は2月21日に訪れたようです。ホームセンター大手のホーム・デポ<HD>と小売り大手のウォルマート<WMT>が個人消費を理由に慎重な見通しを示すと(ウォルマートは利益率の低い食料品の売り上げが伸びたことを明らかにしました)、市場は潜在的なインフレの長期化に加えて景気の減速も織り込み始め、S&P500指数 は2%下落し、1営業日での下落幅として今年に入って最大となりました(この時点で、2023年の営業日数はまだ29日しかありませんでしたが……)。
経済見通しの引き下げ、インフレ率低下の減速、ならびに米連邦公開市場委員会(FOMC)が少なくともあと3回(3月、5月、6月)は利上げを継続する可能性が高まったとの認識を受け、市場の懸念は高まる一方となりました。3月21-22日の次回のFOMCにおける0.25%の利上げが予想されていますが(先物市場が示唆する確率は77%、1ヵ月前は85%)、利上げ幅が0.50%となる可能性もあります(同23%、1ヵ月前はほぼゼロ)。
株価は下落し、2月の市場は1月末から下落して終わりました(出来高も低調でした)。一方で、金利は上昇し、米国1年債利回りは5%を上回り、あらゆる資産クラスの中で最も高い利回りとなりました。最終的に、S&P500指数は月間で2.61%の下落、年初来では3.40%の上昇、2022年1月3日に付けた終値での最高値からは17.23%の下落で2月を終えました。
企業業績に関しては、時価総額で97%に相当する企業が2022年第4四半期の決算発表を終え、決算シーズンは終わりつつあり、市場の話題は第4四半期から2023年第1四半期に移っています。2022年第4四半期の営業利益は前期比1.7%減、前年同期比12.7%減となる見通しです。売上高は前期比2.8%増、前年同期比8.4%増となり、過去最高を更新する見通しです。企業は2022年第4四半期にコスト増の大部分を価格に転嫁することができたようですが、2023年第1四半期にそうした動きはもはや見られません。第1四半期の利益見通しは下方修正されており、現時点では2022年末時点の予想から5.4%引き下げられて前期比2.0%増が見込まれていますが、前期比でマイナスになる可能性も十分にあります。2023年下半期の利益見通しは据え置かれています。
現在、利益(およびキャッシュフロー)以上に重視されているのは3月21-22日のFOMC会合であり、それまでに多くの経済指標が発表される予定です。3月10日には雇用統計が発表され、前月の非農業部門就業者数の51万7000人増が下方修正されるとの見方が強まっています。
過去の実績を見ると、2月は53.2%の確率で上昇し、上昇した月の平均上昇率は2.88%、下落した月の平均下落率は3.45%、全体の平均騰落率は0.09%の下落となっています。2023年2月のS&P500指数は、2.61%の下落となりました。
3月は61.8%の確率で上昇し、上昇した月の平均上昇率は3.44%、下落した月の平均下落率は3.85%、全体の平均騰落率は0.54%の上昇となっています。
今後の米連邦公開市場委員会(FOMC)のスケジュールは、2023年は3月21日-22日、5月2日-3日、6月13日-14日、7月25日-26日、9月19日-20日、10月31日-11月1日、12月12日-13日となっています。
S&P500指数は2月に2.61%下落して3970.15で月を終えました(配当込みのトータルリターンはマイナス2.44%)。1月は4076.60で終え、6.18%の上昇(同プラス6.28%)、12月は3839.50で終え、5.90%の下落(同マイナス5.76%)でした。年初来では3.40%の上昇(同プラス3.69%)、過去3ヵ月では2.69%下落(同マイナス2.28%)、過去1年では9.23%下落(同マイナス7.69%)でした。2022年は19.44%の下落(同マイナス18.11%)、2021年は26.89%の上昇(同プラス28.71%)、2020年は16.26%の上昇(同プラス18.40%)、2019年は28.88%の上昇(同プラス31.49%)、2018年は6.24%の下落(同マイナス4.38%)でした。2022年1月3日の最高値からは17.23%の下落(同マイナス15.63%)、コロナ危機前の2020年2月19日の高値からは17.25%上昇(同プラス23.14%)でした。
ダウ・ジョーンズ工業株価平均(ダウ平均)は、2月に4.19%下落して3万2656.70ドルで月を終えました(配当込みのトータルリターンはマイナス3.94%)。1月は3万4086.04ドルで終え、2.83%の上昇(同プラス2.93%)、12月は3万3203.93ドルで終え、4.17%の下落(同マイナス4.09%)でした。2022年1月4日の最高値(3万6799.65ドル)からは8.08%下落しました。年初来では1.48%の下落(同マイナス1.13%)、過去3ヵ月では5.59%下落(同マイナス5.18%)、過去1年では3.65%下落(同マイナス1.59%)、2022年は8.78%の下落(同マイナス6.86%)でした。
※「高まる市場の懸念、好スタートも維持できず (2)」へ続く
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