レポート
配信元:株探ニュース
投稿: 2024/05/09 13:34
厳しい4月を過ごした投資家にとって、5月の米株式市場は希望の月かもしれない。先週のFOMCでFRBは予想通り金利を据え置いたが、予想外にハト派的だった。4月の落ち込みの後の反発は長続きしないのではないかと考えている投資家もいるかもしれないが、一部のストラテジストはそうは考えてはいない。同ストラテジストはポジティブであり続けることが理に適っている理由を幾つか挙げている。
まずはFRBそのもの。パウエル議長は先週のFOMC後の会見で、利上げ懸念をほぼ打ち消した。その後のデータも、米経済が緩やかに減速していることが示され、利下げ期待が再浮上している。加えて、原油価格が緩和傾向にあり、それは利下げ期待のもう1つの好材料となる。
さらに、世界の経済データが良い方向に向かっているという事実もある。米雇用情勢はほぼ完璧だが、それと同様に欧州も数四半期に及ぶ停滞状態を脱しつつある。4月の製造業PMIは11カ月ぶりの高水準に上昇し、第1四半期GDPは0.3%のプラス成長となった。
つまり、世界経済はこれまでのところ、金利上昇に驚くほど忍耐強いことを証明し続けている。実際、過去には利上げによるマネーサプライの急激な引き締めの多くは景気後退を招いていた。しかし、米地銀の破綻のような不安定な局面を除けば、今回は驚くほど悪影響が少ない。
金融政策の効果に遅行性があるのは事実だが、同ストラテジストが指摘するように、FRBが利上げを始めてから2年が経過するが、月を追うごとに大きな問題を引き起こす可能性は低くなっているようだ。
同ストラテジストは最後に、4月のISM指数のように、弱気派が引き合いに出せるネガティブなデータは幾つかあるが、今回のサイクルでは、データが悪化しても景気後退が実現しなかった時期がすでにいくつかあると指摘している。2022年7月以降、米国債の逆イールドが続き、典型的な景気後退シグナルを点滅させている。また、2023年初頭に失業保険申請件数の増加が目立った。そのような一部のデータには懸念材料はあっても、上昇の原動力となっている多くの好材料を否定するほどではない。
同ストラテジストだけではない。今週初めに米大手銀が幅広い企業収益力が株価を押し上げ続ける可能性を強調していたほか、インフレが緩やかにでも鈍化すれば、米株式市場は勝ち続ける可能性があると主張している向きもいる。
戦争から大統領選挙まで、投資家に心配事が全くないわけではないが、いまのところは楽観的でいられる理由がまだたくさんあることは心強いことではある。
MINKABU PRESS編集部 野沢卓美
株探ニュース
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