レポート
配信元:株探ニュース
投稿: 2025/02/04 02:45
関税による株価下落がどこまで続くかは、それがいつまで続くかによるとウォール街の金融機関は考えているようだ。トランプ大統領が週末に複数の主要貿易相手国に課税措置の発動を発表したことを受け、本日の株式市場は一時売りが強まった。トランプ大統領はメキシコとカナダからの輸入品に25%の関税を課し、中国には10%の課税引き上げを表明。ただ、メキシコについては、両国の大統領が本日会談し、措置の導入が1カ月間延期されている。
ウォール街の金融機関は関税のニュースが当面、株式市場に重くのしかかり続けると予測しているが、最終的にどの程度の打撃となるかは、関税がいつまで続くか、また、どの程度の深刻さになるか次第だという。ここで見方をいくつか紹介する。
◆S&P500の1株利益の予測は約2―3%減少
「高額な関税は、S&P500企業の業績予測と株式のリターンの予想に下方リスクをもたらす。経営陣が投入コストの上昇を吸収することを決定した場合は利益率が圧迫される。企業が最終敵に顧客にコスト転嫁した場合、販売量は減少する可能性がある。企業はサプライヤーに値下げを要求し、関税コストの一部を吸収させようとするかもしれない。
今週末に発表された関税が継続した場合、S&P500の1株利益の予測は約2―3%減少すると見ているという。ただし、金融情勢の大幅な引き締めや、政策の不透明性が企業や消費者の行動に及ぼす影響が予想以上になった場合の追加的な影響は考慮していないとしている。なお、先行きは不透明だが、カナダとメキシコに対する関税は一時的なものになる可能性がかなり高いと考えているとも付け加えた。
◆S&P500が6600まで上昇という見方に変化なし
今後数週間の間、関税は市場の重しとなり、変動要因となる可能性が高い。少なくとも、投資家が米通商政策の方向性と最終目的地についてより明確な見通しを得るまでは。
株式市場にはまだ上昇余地がある。貿易政策については引き続き注視していくが、年末までにS&P500は6600まで上昇するという基本シナリオに変化はない。
カナダとメキシコに対する関税は継続される可能性は低く、米経済成長は株式にとって追い風となるはず。また、AIは企業業績と株式市場にとって強力な構造的追い風となるという見解を維持している。低コストのAIモデルであるディープシークの最近の進展は、最終的にはAIの普及をさらに広範に拡大し、成長と生産性を高めることになる。
◆関税は物色のサービス産業へのシフトを強化
関税は物色のサービス産業へのシフトを強化する。トランプ大統領はカナダとメキシコに25%、中国に10%の関税引き上げを課す大統領令に署名した。株式市場は売りが強まっているが、ここ数週間の大半は、あらゆることを考慮しても、値動きは堅調であった。これは、株式市場が中国に対する段階的・慎重なアプローチ、安全保障上の懸念が緩和された後にメキシコとカナダに対する関税が課されないか、課されても非常に短期間であるとの方向に傾いていたことを示している。
ここから、これらの関税が長期間維持されるにつれ、市場は以前のベースラインの見方を試される可能性が高い。そのような中、前述の通り、消費財よりもサービス(金融、ソフトウェア、メディア・エンターテインメント、消費者サービス)を相対的に選好している。最近の貿易政策の実施を踏まえると、市場の物色はさらにサービスへとシフトすることが予想される。また、価格決定力の強い消費財関連産業(多業種および資本財)は、そうでない産業(消費裁量)よりも、この状況に対応する上で有利な立場にある。
MINKABU PRESS編集部 野沢卓美
株探ニュース
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