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S&P500 月例レポート ― 高まる市場の懸念、好スタートも維持できず (3) ―

レポート

配信元:株探ニュース

投稿: 2023/03/23 20:41


●各国中央銀行の動き(および関連ニュース)

 ○1月31日-2月1日に開催されたFOMCでは政策金利を0.25%引き上げ、FF金利の誘導目標を4.50%-4.75%に設定しました。FRBは、インフレ低下は市場関係者が考えているよりも緩やかなペースになるとの見方を変えておらず、インフレの低下スピードが鈍化すれば、そのことを政策に組み込んでいくことになると付け加えました。こうした見解を受けて、市場では追加の利上げは0.25%で、その後FRBは利上げを停止し、経済状況を見極めようとするだろうとの見方が広がりました。その結果、株式市場は上昇に転じ、パウエル議長の会見が行われた日の株価は1.28%上昇しました(会見開始直後は0.97%下落しました)。

 ○イングランド銀行(BoE)は政策金利を0.50%引き上げて(利上げは10会合連続)4.0%としました。BoEは深刻な景気後退には陥らないと判断し、今後の利上げは経済データ次第であるとしています。

 ○欧州中央銀行(ECB)は政策金利を0.50%引き上げて2.5%としました。また、次回3月の政策理事会でも再度0.50%の利上げを行う可能性を示唆しました。

 ○FRBのパウエル議長は2月3日に発表された雇用統計で雇用者数が大幅増となったこと(前月比51万7000人増、市場予想は18万5000人増)をインフレとの闘いの難しさの証拠として取り上げましたが、予想よりもタカ派色は弱まりました。株価は議長の発言に反応して発言前の膠着状態から一転して大幅に上昇し、終値ベースで1.29%上昇しました。市場参加者は引き続き、0.25%の利上げがあと2回行われると予想しています(今後のFOMCの予定は3月21-22日と5月2-3日)。

 ○FRBのラエル・ブレイナード副議長が退任し、バイデン政権の国家経済委員会(NEC)の委員長に就任して、経済政策の策定と債務上限問題に取り組むことになります。なお、バイデン氏が任命するブレイナード氏の後任については上院での承認が必要となります。

 ○(0.25%の利上げを決めた)1月31日-2月1日開催のFOMCの議事録によると、FOMCメンバーは金利とインフレがともにピークに達しつつあると考えており、経済指標を注視していることが明らかとなりました。

●企業業績

 ○(時価総額で97.1%に相当する)480銘柄が2022年第4四半期の決算発表を終えました。そのうちの323銘柄(67.3%)で営業利益が予想を上回り、476銘柄中311銘柄(65.3%)で売上高が予想を上回りました。売上高は四半期ベースでの過去最高を更新する見通しです。

  ⇒2022年第4四半期の営業利益は前期比1.7%減、前年同期比では12.7%減となる見通しです。売上高は過去最高を記録した前期(第3四半期)から2.8%増、前年同期比では8.4%増が見込まれ、過去最高を更新する見通しです。

  ⇒2022年第4四半期の営業利益率は第3四半期の11.28%から低下して10.80%となる見通しです(1993年以降の平均は8.29%、過去最高は2021年第2四半期の13.54%)。

  ⇒2022年第4四半期中に株式数の減少によって1株当たり利益(EPS)が大きく押し上げられた発表済みの銘柄の割合は、2022年第3四半期の21.24%に対して19.0%となりました。この割合は、2021年第4四半期は14.89%、コロナ禍に見舞われた2020年第4四半期は6.01%でした。

 ○2022年通年の利益は前年比5.8%減となる見通しで、2022年予想株価収益率(PER)は20.2倍となっています。

 ○2023年の利益は同11.7%増が見込まれており、2023年予想PERは18.1倍となっています。

●個別銘柄

 ○ソーシャルメディア大手のメタ・プラットフォームズ<META>は、認証マークを取得できる月額11.99ドルの課金サービスをフェースブックとインスタグラムの両プラットフォームで提供することを発表しました。

 ○半導体大手のインテル<INTC>は配当を66%減額することを発表し(総額40億ドル。この結果、S&P500指数の配当利回りは0.7%低下)、同社事業における「重要な投資」の必要性に言及しました。

●注目点

 ○ソーシャルメディア企業のメタが400億ドルの自社株買いプログラムを承認したと発表し、自社株の買い戻しが引き続き注目を集めました(1月には、エネルギー大手シェブロン<CVX>が750億ドルの自社株買いプログラムを承認しました)。

 ○2022年の米国の貿易収支は輸入が輸出を上回り、過去最高となる9481億ドルの赤字(2021年の8451億ドルの赤字から12.2%増)となりました。

 ○ロシアは、原油が1バレル80ドル以上で取引 される中、欧米の制裁(上限価格の設定)を理由に、日量50万バレル(約5%)の減産を行うと発表しました。

 ○2022年第4四半期の米国の家計負債は前期比3940億ドル増の16兆9000億ドル(コロナ以前の水準から2兆7500億ドル増)でした。

 ○米国の連邦最高裁判所で、通信品位法(1996年)第230条についての審理が行われました。この規定は、グーグルやツイッターなどのソーシャルメディア企業が、投稿されたデータに関する責任を免除される根拠となっているものです。2023年第2四半期に予定されている決定に大きな変化はなさそうですが、何らかの変化があれば、ソーシャルメディア企業の責任やビジネスモデルに重大な影響を与える可能性があります。

 ○昨年、株価下落を予想して(2022年のS&P500指数は19.44%下落)1位(Institutional Investor調査)となったモルガン・スタンレー<MS>のストラテジストであるマイケル・ウィルソン氏は、現在、S&P500指数が2023年上半期に26%も下落する可能性があることを示す兆候が見られると述べています。

 ○オフィスローン(住宅ローン担保証券向け)の延滞率は上昇しましたが、信用格付の低い顧客向けの自動車ローンと同様、なお比較的低い水準にとどまっています。

 ○レモンド米商務長官は、バイデン政権は530億ドルのCHIPS法プログラムの一部を利用して、2030年までに半導体製造工場を2ヵ所以上建設する予定を明らかにし、来週には企業からの補助金の申請受付を開始すると述べました。

  ⇒補助金の受給には、自社株買いの制限、政府との利益供与の義務、従業員への特定の福利厚生、中国での事業展開の制限など、金額に応じた条件が加えられました。

※「高まる市場の懸念、好スタートも維持できず (4)」へ続く

株探ニュース

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