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S&P500 月例レポート ― 薄れる長期悲観論、太陽はいずれ昇る (1) ―

レポート

配信元:株探ニュース

投稿: 2023/02/28 11:40


S&P500月例レポートでは、S&P500の値動きから米国マーケットの動向を解説します。市場全体のトレンドだけではなく、業種、さらには個別銘柄レベルでの分析を行い、米国マーケットの現状を掘り下げて説明します。

●THE S&P 500 MARKET:2023年1月
個人的見解:低調な企業業績、だがそこまでは悪くはない

 年明けから始まった2022年第4四半期の業績発表(時価総額の44.4%に相当する企業が発表を終えました)からも分かる通り、とりわけ請求書(給与、設備投資資金、配当。さらに自社株買いという声も聞かれます)を処理する立場にある場合、財務状態(まずは利益、次にキャッシュフロー)を把握することが正しいことのように思われます。実際の第4四半期の企業利益は好調ではありませんでしたが、ウィスパーナンバー(アナリストの非公式の業績予想、あるいは懸念された)ほど悪くはありませんでした。

 最終的に第4四半期の営業利益は前期比2.7%増が見込まれています(過去最高を記録した2021年第4四半期から8.8%減少。なお、2021年末のS&P500指数は4766)。実際の売上高は企業のコスト増(といくらかの追加利益)を転嫁する能力が低下していることを示しています。2022年第4四半期の売上高は過去最高となった第3四半期(この時期は消費者の購買意欲が旺盛で、「リベンジ消費」なる言葉が生まれました)を僅かに上回る(0.9%増)見通しです。

 業績は(相対的には)それほど悪くはありませんが、明らかに半数以上の企業の最高経営責任者(CEO)は今後の困難な状況、利益率の悪化(第4四半期の営業利益率は11.48%と、1993年以降の平均である8.29%を依然として大幅に上回っています)、および消費者の買い控えについて警告を発しています(心配は無用です。ワシントンでは重要プログラムであるIRA(インフレ抑制法)や半導体産業を支援するCHIPS法が重視されています。しかし、これらの財源はどうやって確保するのでしょうか)。特筆すべき(明るい)材料としては、CEOのコメントから長期悲観論が消え、現在の景気後退期を乗り越えることは可能との確信が示されたことがあります。こうしたCEOの見解に後押しされ、米連邦準備制度理事会(FRB)の声明文に若干のタカ派色が残っているにもかかわらず、市場関係者の間では2会合連続で0.25%ずつの利上げが行われるとの観測が優勢となっています。以上を勘案すると(かなりの確度で)、いずれ(下半期には)太陽が昇ってくると考えられます。

 株式市場では4年ぶりに1月の騰落率がプラスとなりました(6.18%上昇。2022年1月は5.26%下落、2021年1月は1.11%下落、2020年1月は0.16%下落)。実現確率71%を誇るウォール街の格言「1月の相場がその年の相場を決める」が示す通り、1月の相場が順調であれば、その年の相場についても同じことが期待できます。

 2月に関して言えば(今週後半から始まる)、1日(水曜日)午後2時半からのパウエル議長の記者会見、2日(木曜日)の取引終了後に行われる「トリプルA株」(アップル<AAPL>、アルファベット<GOOG>、アマゾン・ドット・コム<AMZN>の3社を指す。時価総額の12.4%、2022年第3四半期の企業利益の8.1%を占める)の決算発表、そして3日(金曜日)の雇用統計(平均時給データを含む)の発表を乗り越えることができれば、(シングルモルトを楽しみながら)ゆっくりとくつろいで、資産配分の見直しを行う快適な週末を迎えることができるでしょう(弱気派であれば4.5%を上回る安全資産の利回りは魅力的でしょう。リスク許容度が高く、十分な投資期間があるのであれば、足元の投資環境の変化は銘柄選択を行う上でこれまで以上に有望な投資機会を提供してくれる可能性があります)。

 過去の実績を見ると、1月は61.7%の確率で上昇し、上昇した月の平均上昇率は4.20%、下落した月の平均下落率は3.81%、全体の平均騰落率は1.13%の上昇となっています。2023年1月のS&P500指数は、6.18%の上昇となりました。「1月の相場がその年の相場を決める」という格言の実現率は、1929年以降で71.28%となっています(そして2022年はこの格言通りとなりました:1月に下落し、通年でも下落しました)。取引初日の相場がその年の相場を決める確率はコイントスと同じ、50%です(2022年は外れました。取引初日に終値で高値をつけ、それが終値ベースで年間の高値となりました)。

 2月は53.2%の確率で上昇し、上昇した月の平均上昇率は2.88%、下落した月の平均下落率は3.45%、全体の平均騰落率は0.09%の下落となっています。

 今後の米連邦公開市場委員会(FOMC)のスケジュールは、2023年は1月31日-2月1日、3月21日-22日、5月2日-3日、6月13日-14日、7月25日-26日、9月19日-20日、10月31日-11月1日、12月12日-13日、となっています。

 S&P500指数は1月に6.18%上昇して4076.60で月を終えました(配当込みのトータルリターンはマイナス6.28%)。12月は3839.50で終え、5.90%の下落(同マイナス5.76%)、11月は4080.11で終え、5.38%の上昇(同プラス5.59%)、10月は3871.98で終え、7.79%の上昇(同プラス8.10%)でした。1月としては3年ぶりの上昇となりました。過去3ヵ月では5.28%上昇(同プラス5.76%)、過去1年では9.72%下落(同マイナス8.22%)でした。2022年は19.44%の下落(同マイナス18.11%)、2021年は26.89%の上昇(同プラス28.71%)、2020年は16.26%の上昇(同プラス18.40%)、2019年は28.88%の上昇(同プラス31.49%)、2018年は6.24%の下落(同マイナス4.38%)でした。2022年1月3日の最高値からは15.01%の下落(同マイナス13.52%)、コロナ危機前の2020年2月19日の高値からは20.00%上昇(同プラス25.26%)でした。

 ダウ・ジョーンズ工業株価平均(ダウ平均)は1月に2.83%上昇して3万4086.04ドルで月を終えました(配当込みのトータルリターンはマイナス2.93%)。12月は3万3203.93ドルで終え、4.17%の下落(同マイナス4.09%)、11月は3万4589.77ドルで終え、5.67%の上昇(同プラス6.04%)でした。2022年1月4日の最高値(36799.65)からは7.37%下落しました。過去3ヵ月では4.13%上昇(同プラス4.68%)、2022年は8.78%の下落(同マイナス6.86%)、過去1年では2.98%下落(同マイナス0.92%)でした。

●主なポイント

 ○クリスマスにサンタクロースは来ませんでしたが、慈愛の精神に満ちた存在(あなたの好きに表現してください)が有難いことに1月になって降臨し、株式市場は6.18%上昇しました(1月の株式市場の騰落率は2022年まで3年連続でマイナスでした)。2022年12月は5.90%下落(11月は5.38%上昇)しましたが、1月末時点での過去3ヵ月間の騰落率は2.60%上昇となりました。この幸先の良いスタートは感謝すべきものですが(1月の相場がその年の相場を決めると言われているため)、株式市場が2022年の19.44%の下落分を取り戻すのは簡単なことではないでしょう。1月に株価が上昇したことから、過去1年間の騰落率は9.85%下落となりました(なお、2021年は26.89%上昇、2020年は16.26%上昇、2019年は28.88%上昇となっています)。

  ⇒2月は11セクターのうち8セクターが上昇しました(12月は11セクターすべてが下落しました)。騰落率が最高となったのが一般消費財で14.99%上昇し(2022年は37.58%下落)、最低は公益事業で2.04%下落しました(2022年は「小幅な」1.44%の下落)。

  ⇒1月は値上がり銘柄数が値下がり銘柄数を大幅に上回りました。値上がり銘柄数は395銘柄(うち10%以上上昇した銘柄は179銘柄、20%以上上昇した銘柄数は43銘柄)となり、値下がり銘柄数は107銘柄となりました(10%以上下落した銘柄は6銘柄)。

  ⇒2022年通年では、値下がり銘柄数が値上がり銘柄数を大幅に上回りました。値上がり銘柄数は139銘柄(10%以上上昇したのは93銘柄、20%以上上昇したのは53銘柄でした)、値下がり銘柄数は363銘柄となりました(10%以上下落した銘柄は283銘柄、20%以上下落した銘柄は204銘柄でした)。また、2022年は11セクターのうち10セクターが下落しました(エネルギーが59.05%上昇した一方で、コミュニケーション・サービスは40.42%下落し、騰落率の差が99%ポイントとなりました)。

  ⇒市場全体で見ると、S&P500指数の時価総額は1月に1兆9810億ドル増加しました(2023年1月末時点の時価総額は34兆1140億ドル)。2022年通年では8兆2240億ドル減少しましたが、コロナ危機前の最高値を記録した2020年2月19日との比較では6兆500億ドル増加しました。

 ○人員削減の動きは続いています。セールスフォース・ドット・コム<CRM>、アマゾン・ドット・コム<AMZN>、アルファベット<GOOG>、マイクロソフト<MSFT>、ゴールドマン・サックス・グループ<GS>、スリーエム<MMM>、IBM <IBM>、ダウ<DOW>、ハスブロ<HAS>が人員削減計画を発表しました。

 ○(時価総額で44.4%に相当する)170銘柄が2022年第4四半期の決算発表を終えました。119銘柄(70.0%)で営業利益が予想を上回り、169銘柄中107銘柄(63.3%)で売上高が予想を上回りました。

  ⇒2022年第4四半期の営業利益は前期比2.7%増、前年同期比では8.8%減となる見通しです。売上高は過去最高を記録した前期(第3四半期)から僅かに(0.9%)増加し、前年同期比6.5%増が見込まれ、過去最高を更新する見通しです。

  ⇒2022年第4四半期の営業利益率は第3四半期の11.28%から上昇して11.48%となる見通しです(1993年以降の平均は8.29%、過去最高は2021年第2四半期の13.54%)。

 ○S&P500指数の日中ボラティリティ(日中の値幅を安値で除して算出)の1月の平均値は1.45%となり、2022年12月の1.52%から低下しました(11月は1.61%)。2022年は平均1.83%、2021年は0.97%、2020年は1.51%、2019年は0.85%(2018年は1.21%、2017年は1962年以降で最低となる0.51%)でした。

※「薄れる長期悲観論、太陽はいずれ昇る (2)」へ続く

株探ニュース

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