レポート
配信元:株探ニュース
投稿: 2023/04/27 11:40
●主なポイント
○振り返ってみると、株式市場は銀行破綻の問題を上手く織り込み、銀行取り付け騒ぎを抑え込もうとした政府の迅速な対応は破綻の連鎖を食い止めることに効果があると判断しました。とはいえ、リスクがあると考えられる金融機関に対しては厳しい反応を示しました。FRBは事前のシナリオ通りに0.25%の利上げを決めましたが、SVBの破綻によって議論の中心は、2月が0.50%の利上げ幅が問題となっていたのに対し、利上げを3月で一旦停止するか否かに移りました。フォワードガイダンスに関するFRBの声明によると、0.25%の追加利上げが予定されており、利下げ開始は2024年からとなっています。楽観的な市場の解釈でも最後の利上げが(5月に)あるとみられていますが、一方で利下げは年内に開始され、その結果として経済と企業業績が下支えされると考えられています(2023年第1四半期の利益は前期比横ばいと予想されていますが、下半期には過去最高になると見込まれています)。
⇒3月の市場は、事業内容や関連業界によってリターンにばらつきが見られる中、11セクターのうち7セクターが上昇しました。2月は情報技術セクターのみが上昇(0.29%)し、1月は8セクターが上昇しました。騰落率が最高となったのは情報技術で3月に10.87%上昇しました。年初来では21.49%上昇、2021年末の終値からは13.63%下落となりました。情報技術セクターは年初来騰落率でも最高となっています。騰落率の最低は金融で3月に9.74%下落し、年初来では6.05%下落、2021年末の終値からは17.63%下落となりました。
⇒3月は値上がり銘柄数が値下がり銘柄数を上回りました。値上がり銘柄数は263銘柄(2月は113銘柄)で、そのうち10%以上上昇した銘柄は32銘柄(同11銘柄)、20%以上上昇した銘柄数は7銘柄(同1銘柄)でした。値下がり銘柄数は240銘柄(同390銘柄)で、そのうち10%以上下落した銘柄は53銘柄(同56銘柄)、20%以上下落した銘柄数は14銘柄(同4銘柄)でした。年初来では、依然として値上がり銘柄数が値下がり銘柄数を上回っており、274銘柄が値上がり(20%以上上昇は51銘柄)、229銘柄が値下がり(20%以上下落は19銘柄)しました。
→2022年通年では、値下がり銘柄数が値上がり銘柄数を大幅に上回りました。値上がり銘柄数は139銘柄(10%以上上昇は93銘柄、20%以上上昇は53銘柄)、値下がり銘柄数は363銘柄(10%以上下落は283銘柄、20%以上下落は204銘柄)でした。また、2022年は11セクターのうち10セクターが下落しました(エネルギーが59.05%上昇した一方で、コミュニケーション・サービスは40.42%下落し、騰落率の差は99%ポイントとなりました)。
⇒市場全体で見ると、S&P500指数の時価総額は3月に1兆1190億ドル増加して34兆3420億ドルとなりました(年初来では2兆2090億ドル増)。2022年通年では8兆2240億ドル減少しましたが、コロナ危機前の最高値を記録した2020年2月19日との比較では6兆2780億ドル増加しています。
○人員削減計画の発表が続いています。フェースブックの親会社であるメタ・プラットフォームズ<META>は、昨年11月に実施した1万1000人の削減に続き、従業員の13%に当たる1万人を追加で削減するほか、5000人の採用計画を見送ると発表しました。オンライン小売企業のアマゾン・ドット・コム<AMZN>は今年1月に発表した1万8000人に加え、9000人を追加削減すると発表しました。
○500社が2022年第4四半期の決算発表を終えました。そのうちの337銘柄(67.4%)で営業利益が予想を上回り、497銘柄中323銘柄(65.0%)で売上高が予想を上回りました。売上高は四半期ベースで過去最高を更新する見通しです。
⇒2022年第4四半期の最終結果は来週にも明らかになる予定ですが、暫定結果に基づくと、営業利益は前期比0.04%増でほぼ横ばい、前年同期比では11.2%減となる見通しです。売上高は過去最高を記録した前期(第3四半期)から3.4%増、前年同期比では9.0%増が見込まれ、過去最高を更新する見通しです。
⇒2022年第4四半期の営業利益率は第3四半期の11.28%から低下して10.92%となる見通しです(1993年以降の平均は8.29%、過去最高は2021年第2四半期の13.54%)。
○S&P500指数の日中ボラティリティ(日中の値幅を安値で除して算出)の3月の平均値は1.51%となり、2月の1.31%から上昇しました(1月は1.45%)。年初来では1.43%となりました。また、2022年は1.83%、2021年は0.97%、2020年は1.51%でした。
●利回り、金利、コモディティ
○米国10年国債利回りは2月末の3.93%から3.48%に低下して月末を迎えました(2022年末は3.88%、2021年末は1.51%、2020年末は0.92%、2019年末は1.92%、2018年末は2.69%、2017年末は2.41%)。30年国債利回りは2月末の3.92%から3.66%に低下して取引を終えました(同3.97%、同1.91%、同1.65%、同2.30%、同3.02%、同3.05%)。
○英ポンドは2月末の1ポンド=1.2029ドルから1.2326ドルに上昇し(同1.2099ドル、同1.3525ドル、同1.3673ドル、同1.3253ドル、同1.2754ドル、同1.3498ドル)、ユーロは2月末の1ユーロ=1.0577ドルから1.0840ドルに上昇しました(同1.0703ドル、同1.1379ドル、同1.2182ドル、同1.1172ドル、同1.1461ドル、同1.2000ドル)。円は2月末の1ドル=136.15円から132.77円に上昇し(同132.21円、同115.08円、同103.24円、同108.76円、同109.58円、同112.68円)、人民元は2月末の1ドル=6.9334元から6.8688元に上昇しました(同6.9683元、同6.3599元、同6.6994元、同6.9633元、同6.8785元、同6.5030元)。
○3月末の原油価格は1.7%下落し、2月末の1バレル=76.85ドルから同75.54ドルとなりました(2022年末は同79.35ドル)。米国のガソリン価格(EIAによる全等級)は3月に2.2%上昇しました(3月末は1ガロン=3.533ドル、2月末は同3.457ドル、2022年末は同3.203ドル、2021年末は同3.375ドル)。2020年末から原油価格は56.0%上昇し(2020年末は1バレル=48.42ドル)、ガソリン価格は51.6%上昇しました(2020年末は1ガロン=2.330ドル)。
○2023年2月時点のEIAの報告によると、ガソリン価格の内訳は、53%が原油(1月の55%から下落)、15%が連邦税および州税(1月は15%)、13%が販売・マーケティング費(同10%)、そして20%が精製コストおよび利益(同20%)となっています。
○金価格は2月末の1トロイオンス=1834.20ドルから上昇し1987.40ドルで3月の取引を終えました(2021年末は1829.80ドル、2020年末は1901.60ドル、2019年末は1520.00ドル、2018年末は1284.70ドル、2017年末は1305.00ドル)。
○VIX恐怖指数は2月末の20.70から18.70に下落して3月を終えました。月中の最高は30.81、最低は18.16でした(2022年末は21.67、2021年末は17.22、2020年末は22.75、2019年末は13.78、2018年末は16.12)。
⇒同指数の2022年の最高は38.89、最低は16.34でした。
⇒同指数の2021年の最高は37.51、最低は14.10でした。
⇒同指数の2020年の最高は85.47、最低は11.75でした。
●新型コロナウイルスとサル痘
○新型コロナウイルス関連データ:
⇒米国の新型コロナウイルスによる累計死者数は113万5000人となりました(2月は112万人)。
⇒米国の新規感染者数の7日間平均は3月末時点で1万9508人となり、2月末時点の3万4036人から減少しました。新規感染者数の7日間平均は2022年1月11日に141万7493人に達しました。また、死者数の7日間平均は255人に減少しました(2月末時点は327人)。
※「市場の関心は再び金融政策、企業業績に移る (3)」へ続く
株探ニュース
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